こんな授業があったんだ|第31回|ことば遊びセレクション〈後編〉|向井吉人

こんな授業があったんだ 授業って、教科書を学ぶためだけのもの? え、まさか。1980〜90年代の授業を中心に、発見に満ちた実践記録の数々を紹介します。

授業って、教科書を学ぶためだけのもの? え、まさか。1980〜90年代の授業を中心に、発見に満ちた実践記録の数々を紹介します。

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ことば遊びセレクション 〈後編〉
しりとり・いろいろ (小学2・3年生)
向井吉人

しりとりでつなごう
──始点と終点のことばを先に決めます

はじめと終わりのことばを決めたしりとりです。
はじめを「ねこ」にして最後を「いぬ」にするとか、
「こくご」から「さんすう」までのあいだをつなげるなど、自在にできるでしょう。
ワークシートをつかって3年生がつくった作品を載せておきましょう。

*ほかにも、「テスト」→「まんてん」と決めて、こんな作品をつくった子がいました。

【テスト】→トマト→とし→しろ→ろば→
→バイト→とかい→いんこ→こま→まんとひひ→
→ひんと→とんぼ→ぼくじゅう→うま→【まんてん】

◾️教室ではこんな工夫で

*丑年になるとき、「ねずみ」→「うし」のしりとりを書いた年賀状をください、という遊びをしたことがあります。2年生のふたつの作品を紹介します。

[2年生の作例]

⚫︎【ねずみ→みつ→つばめ→めかぶ→ふね→ねりけし→
→しまうま→まりも→もぐる→るす→すう→うし】

⚫︎【ねずみ→みみずく→くじら→らっきょ→よっと→とんび→びんちょうまぐろ→
→ロングブーツ→つきみだんご→ごま→まりも→もんしろちょう→うし】

*高畠純さんの『十二支のしりとりえほん』(教育画劇)という絵本があります。お察しのとおり、「ねずみ」から「うし」へ、「うし」から「とら」へ、「うさぎ」「たつ」……と、「いのしし」までの十二支がつながって展開します。

だんだんしりとり
──思いがけないイメージが生まれます

文字数を1文字ずつふやしていくしりとりです。
最後が「ん」のときは、「2文字つなぎ」でつなげていきます。
5、6文字をこえると、なかなか単語をさがせませんから、
文やフレーズになってもいいでしょう。
最初の文字と文字数が決まっているという制約から、
思いがけないイメージの広がりを楽しむことができます。

スーパーしりとり
──これぞ、しりとり上級編!

文字数の枠をランダムに決めて、ことばをさがしてしりとりをします。
書きながらすすめますから、考えどころができます。
促音の「っ」も、できるだけ1マス使ってください。
濁音をつけたり取ったりするのはかまいません。

◾️ワークシートがあれば、いつでもどこでも

決まった文字数でしりとりができるように、ワークシートをつくっておくと、いつでも楽しめます。ワークシートの一部を紹介しましょう。

*この記事で紹介していることば遊びに使えるワークシートは、こちらからダウンロードできます。

(前編から読む)

出典:向井吉人『できる! つかえる! ことば遊びセレクション』太郎次郎社エディタス、2016年

向井吉人(むかい・よしひと)
1948年、三重県生まれ。1972年〜2009年、東京都小学校教員。定年までの37年間を学級担任として勤務。現在、東京都および立川市の非常勤教員・時間講師。長年にわたり、ことば遊びの教育実践と理論的研究、ことば遊びについてのコレクションとその批評を続けてきた。
1983年、ことば遊びの教育実践により久留島武彦文化賞を受賞。
ことばあそびの会には発足の1977年に会員となり、1985年からは全面教育学研究会に参加。
ことば遊びに関する著書に『素敵にことば遊び』(學藝書林)、『ことば遊びの授業づくり』(明治図書)、共著書に『作文わくわく教室』(さ・え・ら書房)などがある。